やっと実感できたインタレストグラフ~ユーザーは「まとめ」もFollowする~

なるほど、自分のフィードで「友達本位」に加えて「インタレスト(関心)本位」の情報をだんだんとコントロールできるようになってきたんだ、という話をしたいと思います。

 


昨年あたりから頻繁にインタレストグラフ(関心の相関図)という言葉を目にするようになって、Facebookに代表されるソーシャルグラフ(人間関係の相関図)との関係においてさまざまな意見がありました。補完されるもの?とか、相反し合うものだ、などなど。エッジの立っている方なら認識されていたのかもしれませんが、どうも自分の中ではずっとピンときませんでした。日々「いいね!」や「RT」で自分のフィードに流れてくる情報は、紛れもなくインタレストグラフを形成しています。しかし、あくまでも友達関係本位で乗っかってくるインタレスト情報で、関心領域のほとんど合致しない「友達」もいる場合には、極端な言い方をすれば、ノイズにもなりかねません。ソーシャルメディアの種類や使い方で異なるとはいえ、友達を分類するような「リスト機能」のような考え方ではなく、「友達関係」本位から「関心領域」を切り離して柔軟な情報の組み合わせが可能な、一層自分にとって心地の良い空間はないものか。もちろん、友人からの意外な情報の「発見」というセレンディピティは維持したまま…

そのようなことを漠然を考えていたところ、Pinterestを利用してみた時、やっと「インタレストグラフ」を実感として捉えることができるように感じました。


 
■気付きのきっかけは、「Follow All」。
まず、上記に述べた、最近もの凄い勢いで成長しているPinterest。簡単に言うと写真などのビジュアル系「まとめ」サービスです。ユーザーは予めテーマを設定した複数のコルクボードに、写真を見つけてきてはマッチする「ボード」にそれぞれ貼っつけて(Pinして)いく感覚で、お気に入りのビジュアルを収集します。テーマ別にボードに写真がまとまっていきます。FacebookやTwitterとの連携を通して友達のフォローが可能で、写真などを共有して楽しむことができるのですが、そこで私が面白いと感じたのは、「Follow All」という言葉でした。友人の写真の下にあるボタンには「Follow All」と書いてあります。文字通り、彼彼女のボード全てをフォローするよ、という意味です。そして、よく見ると各ボードにもFollowボタンがついています。友人をフォローしなくても、自分の関心のあるボードだけをフォローすることが可能なのです。



この感覚は、新鮮でした。
今まで「フォローする」と言えば、友達をフォローすることでしたから。
そうか、今まで「友達をフォロー」するというのは、知らない内に「その人全部」をフォローしてたんだ(Follow All)。その人本位だったのか、と。
そこで、「Follow All」する場合と、ボード別にフォローした場合の文脈について、少し考えてみました。(ちょっと無理やり感もありますが)

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(1)「Follow All」(友達をフォロー):友達関係本位

「あいつ(あの子)、どんな写真に興味があるのだろう?(何が出てくるか、楽しみ)」

⇒ 後々フィードで(誰かの)写真を見つけて…「え!?そういう趣味があったの?」

友達のボード(関心事)に思わぬ驚き(セレンディピティ)があることを期待することができます。実際、友達になっているベンチャーの有名な社長さんが、「え?これ?(カワイイ人形とか)」という写真をPinしていて驚きました。こういう場合、自分がその「カワイイ人形」に関心がなくても、その友達の意外な面を見ることができることに面白みがあります。また前述の通り初めから趣味嗜好が違うと分かっている場合は、「Follow All」しない
ことによりフィードの情報のコントロール度合いを高めることができます。

 
(2)「Follow」(関心ごとをフォロー):インタレスト(関心ごと)本位

「あ、この写真、どれも良い感じ。(これから増える写真も見たい)」

⇒ 後々フィードで(ボードの)写真を見つけて…「あ、やっぱり、あれも良かったけど、これもいいなー。」

写真の共有は言語を選びませんから、世界中の誰かのボード(共通の関心事)を個別にフォローし、自分にとって多くの価値あるインタレスト情報がフィードに並びます。結果的に、その関心ごとに興味がある彼彼女をフォローする可能性ももちろんありますが、1つの関心ごとが同じだからといって、共通する関心ごとが他にも多くあるとは限りません。

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(1)は「友達との関係」に、(2)は「興味・関心」に重きが置かれています。上のような条件の中で、自分が各々のその重きに納得できるのであれば、自分のフィードの情報は比較的ノイズの少ないものになるのではないでしょうか。この「実感」から、私はインタレストグラフはソーシャルグラフの進化系のように感じました。設計次第では、柔軟にソーシャルとインタレストの情報を適切に捉えることができる可能性があるのだと思いました。

このような気づきで他に見渡してみると、類似した3つのサービスが見つかりました。
 

■類似したサービス3つの事例

 
●Delicious
 Delicious
は、米国で有名なソーシャルブックマークサービスです。日本のはてなブックマークのような存在です。元々米yahooが運営していたのですが、経営難のため継続が困難になり、YouTubeのファウンダChad Hurley氏が新しく立ち上げたAVOS社によって買収されました。その後彼らによって再構築された新生deliciousは、個人的にはソーシャルブックマークというより、むしろキュレーションのプラットフォームに大きく様変わりしました。ユーザーが、ブックマーク(リンク)を「スタック」と呼ばれる束に「まとめ」、それをユーザー同士で共有し合います。ちょうど、そのスタックがPinterestのボードと同じような役割を果たすのですが、ここでも同様にユーザーは、各スタックをフォローすることができます。スタックは、数多くあり、Topページは今ではスタックのカテゴリー分けすらされています。そして、別途「友達」単位でもフォローできるのです。下の写真のように、「人」と「まとめ」が同列に配置されていることは象徴的ともいえます。





●Chill

次は、前の記事でも紹介した動画共有サービスのChillです。サービスの内容は前回を参照していただくとして、少し前の2012年2月16日にファウンダーのBrian Norgardがユーザー向けにメールで「Collection」という新しい機能をアナウンスしました。あー、やっぱりインタレスト系のサービスのトレンドが、この「まとめのフォロー」なんだと強く思いました。Collectionも文字通り、動画の「まとめ」です。Brian NorgardのCollecitionを参考までに見てみると、サーフィンやら映画の名シーンなど、さまざまな彼の「インタレスト」に触れることができます。Chillもやはり人のフォローが可能です。ちなみに私はBrian Norgardをフォローしていませんが、彼のCollectionはフォローしています。

 



●8tracks
 
最後に、Time誌による2011年のWebサイトベスト50の音楽&ビデオ部門で1位になった8tracks。8曲以上の曲をひとまとまりとしてアップロードし、ユーザー間でストリーミング形式で音楽を共有するサービスです。そもそも8曲「まとめ」ることが前提になっており、自分のお気に入りプレイリストというよりは、人に聴いてもらうために曲が集められている印象を受けます。実際、70~90年代のラジオやDJカルチャーの影響を受けているので、彼らはそれらの曲の「まとめ」を「MIX」と呼びます。8tracksでも同様にMIXごとにフォローすることができるのですが(実際にはフォローではなく「LIKE」と呼びます。)、友達単位でもフォローが可能。

 

 
■おわりに
 
Pinterestの「Follow All」というボタンをきっかけに、インタレストグラフについて考える機会を得ました。「関心事のまとめ」をフォローすることによって、ユーザーはその文脈に合った更新情報を友達本位であろうと無かろうとフィードで得ることができます。これまでの友達本位の情報に加え、関心本位の情報を柔軟に組み込めるのです。情報があまりに多い昨今、「情報がまとまっていく」のは必然的なことかもしれません。そして、そのまとまりをフォローする一方で、「見つけて・まとめて・発信する」という小さな自己表現の簡易さ、楽しさにユーザーが気づき始めているように思います。少し前に、NAVER JAPANが「まとめ」サイトに関して本格事業化を始め、インセンティブプログラムを強化しはじめました。また、Pinterestは、あたしいソーシャルコマースサイトとして期待を集めています。マーケティングの観点からもソーシャルグラフに加えて、インタレストのつながりが、ますます本格的に注目されるのではないでしょうか。

人の繋がりの中に、熱量の高い価値あるインタレスト情報が点在しグラフをなしているという様子をほんの少しかもしれませんが、実感できたような気がします。元来、僕は人のコミュニケーションの在り方の変遷にすごく関心があるので、引き続きこのテーマは追いかけたいと改めて思いました。

Notes

  1. etegeez reblogged this from nknkztk
  2. nknkztk posted this

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